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プロフィール
atake
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愛知県生まれ。
 専門として,聖書ヘブライ語を中心とした北西セム語の文法研究(不定詞絶対形など)を一般言語学,談話文法,言語類型論の観点から行ってきたが,最近では旧約聖書の音楽や楽器,および1750年までの欧州古楽に関する研究と実践に移りつつある。
 北西セム語および音楽関係の論文の他に,訳書にヒーリー『初期アルファベット』(学藝書林,1996),ナヴェー『初期アルファベットの歴史』(共訳。法政大学出版局,2000)。『Newton』の「アルファベットのルーツ」の特集(2008)に協力。近刊予定の訳書として『箴言』(ティンデル聖書注解,いのちのことば社)がある。

 また,高校時代からゴスペルのバンドでギター,ベース,シンセサイザの演奏やアレンジを行い各地に演奏に呼ばれる一方,吹奏楽部にて様々な楽器を経験して指揮者を務め,聖歌隊の指揮者としてもバッハやヘンデルなど18世紀以前の曲の指導を行い今に至る。
 同時期に参加したリコーダー・アンサンブルをきっかけに古楽を独習し,オランダ在外研究時(1999〜2000)に知り合ったリコーダー製作家・演奏家の斎藤文誉氏の元で研鑽を積み,その後リコーダー奏者を中心とする様々なレッスンやマスタークラスを受講。
2008年以降大学と神学校にて古楽史を講じ始め,リコーダー奏者としても関西の教会や学校などの演奏に招聘され,2009年より京都産業大学神山ホールにて毎年古楽コンサートを行い好評を博している。
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【京つうからのお知らせ】

2011年03月07日

「呪いの鉛板」見学(12/12京大総合博物館)

いささか旧聞になりますが(汗)自分用メモのまとめです。

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去年の12月12日(日)に,短期間の展示だった京大総合博物館の「呪いの鉛板」を見に行けた。とても面白かった!

見に行くだけでなく講演を聞く価値は十二分にあったし,担当の先生にも色々質問やコメントができて有益だった。講演が14時からのはずなのに13:45に入ったらもう始まってて,別の講演が同時刻に重なったてずらしたとのこと。けど後で非公式の講演が追加。

実物は6cm×15cmと小さく7重に折り畳まれて発見されたので,広げるために裏にガーゼを打って接着剤を付けながら広げたとのこと。小さくて文字も読みにくいのは,内容が呪いで読まれることが想定されておらず,呪うことは罪だから。なので呪い人の氏名と行為も書かれていない。

時代は後3世紀とのことで,呪いが含まれるのでキリスト教が純化される以前のものだろう。ただ呪いといっても「猿ぐつわ」と「不名誉」なので「柔らかい」。大天使がαρχανγελουςと複数形なのは問題。あとヤハウェιαωとサバト-σαβα[..]が出てくるらしい。

人名にはフェニキア系Βασσου,セム系Βαραθης。ハドリアヌスΑδριανουは想像しやすいだろう。テュロスはシリアの属州で,ギリシアにアルファベットを伝え,北アフリカのカルタゴに植民地を作った。

最初の方のαραは「呪い」を,φθεは「死」を表すらしい。最後の55行目は1文字がどうしても前後と合わないが12/7に後半半分が読めて,νικηναμηνιη「勝利を アーメン イエ[ス?](プリント配布)。チラシで「解読中」となっている所は大半が固有名詞らしい。

私の質問とコメントの概要。人名に地元のセム系(中期から後期アラム語)が入っているのは当然だが,普通名詞や呪いの言葉にもセム系の言語で読めるものがありそう。「牛」などの「動物」が出てくるが,古代シリア・パレスチナの神に動物の形容辞が付くことと関係がありそう?

チラシに書いてない最後の55行目がある程度解読できてて,その文のおかげで呪いはないそうだ。

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Posted by atake at 22:39 │古代西アジア