2011年03月07日
「呪いの鉛板」見学(12/12京大総合博物館)
いささか旧聞になりますが(汗)自分用メモのまとめです。
----
去年の12月12日(日)に,短期間の展示だった京大総合博物館の「呪いの鉛板」を見に行けた。とても面白かった!
見に行くだけでなく講演を聞く価値は十二分にあったし,担当の先生にも色々質問やコメントができて有益だった。講演が14時からのはずなのに13:45に入ったらもう始まってて,別の講演が同時刻に重なったてずらしたとのこと。けど後で非公式の講演が追加。
実物は6cm×15cmと小さく7重に折り畳まれて発見されたので,広げるために裏にガーゼを打って接着剤を付けながら広げたとのこと。小さくて文字も読みにくいのは,内容が呪いで読まれることが想定されておらず,呪うことは罪だから。なので呪い人の氏名と行為も書かれていない。
時代は後3世紀とのことで,呪いが含まれるのでキリスト教が純化される以前のものだろう。ただ呪いといっても「猿ぐつわ」と「不名誉」なので「柔らかい」。大天使がαρχανγελουςと複数形なのは問題。あとヤハウェιαωとサバト-σαβα[..]が出てくるらしい。
人名にはフェニキア系Βασσου,セム系Βαραθης。ハドリアヌスΑδριανουは想像しやすいだろう。テュロスはシリアの属州で,ギリシアにアルファベットを伝え,北アフリカのカルタゴに植民地を作った。
最初の方のαραは「呪い」を,φθεは「死」を表すらしい。最後の55行目は1文字がどうしても前後と合わないが12/7に後半半分が読めて,νικηναμηνιη「勝利を アーメン イエ[ス?](プリント配布)。チラシで「解読中」となっている所は大半が固有名詞らしい。
私の質問とコメントの概要。人名に地元のセム系(中期から後期アラム語)が入っているのは当然だが,普通名詞や呪いの言葉にもセム系の言語で読めるものがありそう。「牛」などの「動物」が出てくるが,古代シリア・パレスチナの神に動物の形容辞が付くことと関係がありそう?
チラシに書いてない最後の55行目がある程度解読できてて,その文のおかげで呪いはないそうだ。
----
去年の12月12日(日)に,短期間の展示だった京大総合博物館の「呪いの鉛板」を見に行けた。とても面白かった!
見に行くだけでなく講演を聞く価値は十二分にあったし,担当の先生にも色々質問やコメントができて有益だった。講演が14時からのはずなのに13:45に入ったらもう始まってて,別の講演が同時刻に重なったてずらしたとのこと。けど後で非公式の講演が追加。
実物は6cm×15cmと小さく7重に折り畳まれて発見されたので,広げるために裏にガーゼを打って接着剤を付けながら広げたとのこと。小さくて文字も読みにくいのは,内容が呪いで読まれることが想定されておらず,呪うことは罪だから。なので呪い人の氏名と行為も書かれていない。
時代は後3世紀とのことで,呪いが含まれるのでキリスト教が純化される以前のものだろう。ただ呪いといっても「猿ぐつわ」と「不名誉」なので「柔らかい」。大天使がαρχανγελουςと複数形なのは問題。あとヤハウェιαωとサバト-σαβα[..]が出てくるらしい。
人名にはフェニキア系Βασσου,セム系Βαραθης。ハドリアヌスΑδριανουは想像しやすいだろう。テュロスはシリアの属州で,ギリシアにアルファベットを伝え,北アフリカのカルタゴに植民地を作った。
最初の方のαραは「呪い」を,φθεは「死」を表すらしい。最後の55行目は1文字がどうしても前後と合わないが12/7に後半半分が読めて,νικηναμηνιη「勝利を アーメン イエ[ス?](プリント配布)。チラシで「解読中」となっている所は大半が固有名詞らしい。
私の質問とコメントの概要。人名に地元のセム系(中期から後期アラム語)が入っているのは当然だが,普通名詞や呪いの言葉にもセム系の言語で読めるものがありそう。「牛」などの「動物」が出てくるが,古代シリア・パレスチナの神に動物の形容辞が付くことと関係がありそう?
チラシに書いてない最後の55行目がある程度解読できてて,その文のおかげで呪いはないそうだ。
西アジア言語研究会(12/27,京都産業大学)
【公演&講演】旧約聖書と楽器〜ギターとリラとリコーダー〜(9/23松江)
続・ラオデキア公会議
日本福音主義神学会西部部会2014年度春期研究会(4/21(月)@福音聖書神学校)
平成25年度 西アジア言語研究会(12/22,京都産業大学)
訳書のキドナー『箴言』が出版されました!
【公演&講演】旧約聖書と楽器〜ギターとリラとリコーダー〜(9/23松江)
続・ラオデキア公会議
日本福音主義神学会西部部会2014年度春期研究会(4/21(月)@福音聖書神学校)
平成25年度 西アジア言語研究会(12/22,京都産業大学)
訳書のキドナー『箴言』が出版されました!
Posted by atake at 22:39
│古代西アジア